1型糖尿病で結婚式を挙げるために1番不安に思うのは、「当日無事に式を挙げることができるのか」ということではないでしょうか。
この記事では、実際に結婚式を挙げた私が不安に思ったこと、そしてそのために行った事前準備・対策をまとめました。
私がモデルなので、基本的に新婦目線で記載していますが、新郎側が1型糖尿病でも参考になる点があるかと思います。
結婚式当日の不安に思うことを明確にする
ざっくりと「結婚式当日が不安」という思いがあると思いますが、何が不安なのかを明確にすることで、その不安を解消するための準備を事前に行うことができます。
ここでは、私が感じた結婚式当日の不安要素を挙げてみます。
・低血糖を起こす可能性
・披露宴中の食事について
・インスリンを打つタイミング
これらについて、自分だけで判断するのは危険です。
人それぞれの体調と、式の進行があります。誤った判断で、当日の体調に大きく変化を与えてしまう可能性があるので、必ず事前に担当医と担当プランナーに相談しましょう。
下記は、私が実際に相談した内容と、その対策です。
結婚式当日の不安要素を解消するためのポイント
上記で挙げた不安要素ごとにまとめました。
低血糖を起こす可能性
ウエディングドレスを着用する場合、ドレスのデザインによってはfree style リブレ(1型糖尿病の心強い見方:はじめての free style リブレ)を付けられないかと思います。となると、いつでも血糖値を測定する、なんてことはできませんよね。
しかも結婚式当日は、挙式にしても披露宴にしても、当たり前ですがほぼすべての場面で新郎新婦に視線が集中します。
そのため、低血糖が起きてフラついたりしたらちょっとしたハプニングに。しかも、挙式中は特に、すぐに糖を摂取できる状態に無い可能性があります。
そんなことにならないよう事前に億泰(私の担当医です。なぜそう呼んでいるかはこちらへ)に相談したところ、結婚式当日は血糖値を高めに保つよう言われました。
結婚式当日は血糖値を高めに保つ
「高め」と言ってもどの程度高くしておく必要があるか疑問ですよね。
必要以上に高いと、逆に気持ち悪くなったり、喉が乾きやすくなったり(飲みすぎて式の最中にお手洗いに行きたくなったり)、それはそれで支障が出てしまうかもしれません。
人によって、血糖値がどれくらい高いとどんな症状が現れるか様々だと思うので一概には言えませんが、大体200台であれば、移動などで血糖が下がっても、次の糖を摂取するタイミングまでは低血糖を起こさずに済むのではないかと思います。
また、「どれだけ歩くとどれくらい血糖値が下がる」など、普段から自分自身の血糖値の動きを把握していると、おおよその検討がついて安心できるかもしれません。
上記はあくまで「私自身の安心できる数値」なので、各々で必ず結婚式当日までに担当医に相談しましょう。
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当日は必ず朝食をとる
では、実際にどうやって血糖値を高めにするか。
まずは、どんなに式の時間が早くても、朝食を食べること。
結婚式当日はバタバタしていて、始まったら終わるまでしっかり食事する時間はありません。
当日、会場に向かうまでの移動距離で血糖値が下がることも考え、いつもと同じ量あるいは少し多めの量の朝食を食べ、空腹を原因とする低血糖を防ぎましょう。
また、その際にはインスリンの打ち過ぎにも注意しましょう。
朝食に含まれる糖質量を超えてインスリンを打ってしまっては、結局は低血糖を起こしてしまいます。当日の朝の血糖値を確認したうえで、普段通りの単位数、あるいは少なめの単位数を打って、食べ慣れている朝食をとると安心です。
ちなみに、緊張するとインスリンの効き目がいつもより悪くなる、といったことを聞きましたが、実際に試すのは当日になるので、その点はあまり考慮せずに打ちましょう。
当日の糖を摂取するタイミングを確認する
事前に、当日のタイムスケジュールを見てブドウ糖やジュースなどを摂取できるタイミングを確認することも重要です。
逆に言えば、摂取できない時間帯や、移動がどれだけあるかを把握することで、その間「どれだけの血糖値があれば問題ないか」を知るための大体の目安になるかと思います。
ただ、都度血糖値を計ることはできないと思うので、ちょっとした時間でも一口ジュースを飲むなどすれば、心にも余裕ができて安心して進行を進められるはずです。そのための、ちょっとした時間を把握しておくことをおすすめします。
例えば、挙式中。
入場から退場までおよそ30分ほど。
チャペルだと、移動はバージンロードを歩くくらいで、あとは誓いの署名をするために少し壇上を歩き回るぐらい。和装も大体同じくらいですかね。
そこまで移動はありませんが、30分という時間を安心して過ごせる血糖値にしておく必要があります。
短い時間帯ではありますが、その間は(見栄え的に)全く糖を摂取できないと思うと、それはそれで緊張すると思うので、心に余裕が持てる状態にするため、挙式前のチャペルへの移動時に少しジュースを飲むなどして挑みましょう。
※もし低血糖を起こしていると感じたら、迷わずブドウ糖を口に含みましょう。挙式中のブドウ糖の所持方法については下記に記載。
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新郎と介添人にブドウ糖を所持してもらう
結婚式全体を通して、新婦は片手にブーケ、もう片方は新郎と腕を組んだり、歩くときにつまずかないようウエディングドレスの裾部分を掴んだりして手に余裕がないので、服にポケットのある新郎と介添人にブドウ糖を2~3個持ってもらうといいと思います。
常に自分のそばにいる新郎や介添人にブドウ糖を託しておくことで、当日、万が一低血糖になっても、すぐに糖を摂取することができるので安心です。
他にも、+αのブドウ糖と、インスリン注射や血糖測定器を入れた小さい袋を用意すればさらに安心です。
気持ち的に、白い袋に入れてみたり。
ポーチの中身はこちら。
インスリン注射関係:
ヒューマログ、トレシーバ、ヘキシジン(アルコールを含まない脱脂綿)、針
血糖測定関係:
リブレ、センサー、穿刺具、穿刺針
新郎と介添人には、別途それぞれ2~3粒渡す。
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この白い袋は、挙式中は介添人に持っててもらい、披露宴中は新郎新婦のテーブルの下や、司会の台の裏に隠しておき、必要になったときには介添人にすぐに持ってきてもらうように伝えておきましょう。
披露宴中の食事について
披露宴中、ゲストと同じように新郎新婦にも食事が運ばれたりしますよね。
新郎新婦は挨拶や写真撮影などであまり食事する時間がないと言われますが、それでもタイミングを見計らって食べてる新婦もいます。
でも、食べるならインスリン打たないといけないし、インスリン打つなら一度退場しないと人に見られるし、退場するとなるとタイミングを見計らうか、アナウンスかけてもらう必要があるし…
いろいろな疑問が浮かぶと思いますが、これはプランナーにも相談し、そもそも新郎新婦向けの食事がどのように対応されるか確認しましょう。
これは会場によって異なるようで、
例えば、
・披露宴中にも提供されるが、食べきれなかった分は披露宴後に控え室まで持ってきてくれて、披露宴が終わってから食べられるパターン
→ 見栄え的に披露宴中は提供してもらって、披露宴後に安心してインスリンを打って食べられます。
・披露宴中はそもそも時間的に食べられないのが分かってるので、前菜やスープなどは提供されるが、メイン料理はお食事券として引き換えるパターン
→ 糖があまり含まれていない前菜やスープであれば、披露宴中に食べてしまってもそこまで血糖値は上がらないかと思います。逆に糖の補給にもなりますね。
・披露宴中にすべて提供され、食べきれなかったものはそのままお残しパターン
→ 1番多いパターンかもしれません…
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どのパターンでも、不安が残るようであれば食べないという選択肢を選ぶのが1番安心かもしれません。
私は真ん中のパターンでしたが、披露宴中は高砂での写真撮影後、各テーブルに挨拶に行ったりゲストテーブルでの写真撮影をしたりと、基本的に歩きまわってる流れにしていて、ほとんど席についてる時間はつくりませんでした。
そのため、前菜すら食べないかな、という進行内容だったのと、新郎新婦の食事を出さないことで2名分の食事を浮かせるという節約も兼ねて(笑)、食事はナシにしました。
ただし、食事ナシにする場合は新郎の協力も必要です。新郎だけ食事を提供すると見た目の問題と、1型糖尿病であることを知らないゲストが見たら「なんで新婦は食事ないの?」という風に見られるので、2人でしっかり話し合ってみてください。
他にもパターンはあるかもしれないので、各会場で確認してみましょう。
インスリンを打つタイミング
挙式の時間にもよりますが、当日のお昼ごはん(または夜ご飯)のタイミングが問題ですね。
「披露宴中の食事について」にも記載しましたが、披露宴の際に食事を食べるか食べないかでインスリンを打つかどうか変わるので、まずはプランナーに当日の流れと披露宴中の食事について確認しましょう。
また、注意しなくてはいけないのが、ウエディングドレスを着てしまうとインスリンを打つのが難しいことです。
食前に打つ超速攻型のインスリンなどは、おなかに打つのが1番早く効くらしいですが、おなかが見えるセパレートのウエディングドレスはデザイン的にあまり多くはないですし、会場によってはカジュアル過ぎてNGになります。
太ももは長いドレスをまくりあげるのも大変だし、ストッキングやウエディングインナーなどの着用で簡単には打てません。
では、二の腕。
袖のないウエディングドレスを着用するなら、二の腕はむきだし。ただ、個人的に二の腕に打つのって、角度的に結構難しい。二の腕に打つ場合はいつも彼に打ってもらってる私。
ただ、二の腕に打てても会場のどこで打つかという問題があります。
会場内であればゲストが見てるし(ゲストに知られているのなら問題ないかもしれませんが、誰かの写真に残っちゃうかも)、会場を出るならアナウンス(「新婦退場」的な)などが必要にならないかどうか。
ただ、会場外でインスリンを打って戻ってきてもすぐ食事がとれるか分かりません。打った後にゲストに呼び止められたら、食事する前にインスリンが効いてしまいます。
そもそも私のウエディングドレスは袖付きだったので、ウエディングドレスを着たら完全に打てない状況でした。
ちなみに、お色直し後は二の腕が見えるドレスにしましたが、中座中は着替えなどでごはんを食べる時間がほぼありません。中座の時間を長くするとゲストが退屈になるので、中座中にごはんを食べるならなにかプランを考える必要があると思います。
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披露宴中は食べない、という選択
私は、ドレスの問題と、挙式が午後1時からということもあり、ウエディングドレスを着る前にお昼ごはんを済ます流れにしました。ウエディングドレスを着たら何も食べない、というスタンスです。
そのため、おなかがすいて低血糖にならないよう、朝食同様、お昼ごはんもしっかり食べるようにしました。
プランナーには、準備+食事30分の時間を設けた進行表を作成してもらい、当日は食事をとる時間分早くの集合となりました。
ウエディングドレスを着てるときは食事がとれないので、低血糖予防のため披露宴中はウーロン茶とジュース両方をテーブルに用意してもらいました。
また、私はウエディングケーキだけは食べたかったので、それだけは出してもらうようお願いしておきました。
これまでの経験上、ケーキを食べてもすぐに血糖値が高くならなかったので(大体2~3時間後に高くなるイメージ)、インスリンを打たずに食べ、後追いで打つことにしたのです。
披露宴終了後は、ゲストのお見送り~進行によっては写真撮影があると思います。その間、介添人がいると思うので、その間も袋に詰めたインスリン注射やブドウ糖を持っててもらいましょう。
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これでその日の進行は終了となります。
ここから、血糖値を正常に戻すよう頑張りましょう。
私はその後のスケジュールが、
夕飯 → ホテル宿泊 → 翌朝ホテルでビュッフェの朝食 → 帰宅
という流れだったのですが、ホテル宿泊のため夕飯は外食することにしたので(あと、披露宴中食べてないので、少し豪勢に食べたいという欲望)、ホテル周辺を散歩することも踏まえて、自宅に帰るまではインスリンを打ち過ぎないように気を付けました。
結果、体調は(予想以上の)高血糖をキープすることができ、結婚式は無事に終えることができました。
お昼ごはんの血糖測定時に、想像以上の高血糖だったので逆に心配にもなりましたが、式中は何も問題なかった(むしろちょっとハイになってた)ので、結果オーライだったと思います。
次回以降の記事には、当日の実際の数値や、翌朝のビュッフェで気を付けたことなどを載せたいと思います。
1型糖尿病を患っていても、結婚式を無事に挙げることができます。
そして、事前の準備をしっかり行うことで、当日はより安心して、楽しく過ごすことができます。
素晴らしい1日になるよう頑張ってください![:]