1型糖尿病になったけど会社復帰しました―在宅勤務を可能にするまでの道のり―

病気になると、心も体も元気が出ません。

その病気が治らないとなると、ただでさえストレスを抱えて生きていかなくてはいけないの、「こんな体で働けるのかい」と思わずにはいられません。

今回、私がどんな気持ちで、どう考えて会社に復帰したかを、まとめてみました。結果的にもともと働いていた職場で在宅勤務という働き方で今も働けているので、1型糖尿病で落ち込んで何も手につかない、という方がいらっしゃれば、参考までに読んでいただけたら幸いです。

入院~在宅勤務を可能にするまでの道のり

入院から退院までの約2週間

1型糖尿病で入院した際、当日の意識がまともになった頃に会社に電話連絡をいれました。とりあえず2週間の入院になるとのことだったので、その間お休みします、と。

入院中は、「私、会社復帰できるんだろうか?」と疑問でした。

体調はもちろん、一生インスリン注射生活と聞いて、やはり精神的にも打撃はあったので、この時の私は復帰はほとんど考えていませんでした。

ただ、まだ入院したばかりで不安な気持ちの方が大きかったというのもあり、それに心配してくれる同僚もいて、しかも結構忙しくなる時期だったので突然やめたら残された人たちが大変だし、、といろいろ考えながら、とりあえず体調第一で過ごしていました。

会社には、退院日が決まったりだとか、体調の様子を見て都度連絡するという流れになったので、まずは退院近くまでは仕事のことは忘れました。
ちなみに連絡手段は電話ではなくLINEで、相手も課長ではなく同僚だったので、幸いにも連絡しやすい環境をつくってもらいました。

退院してから会社復帰までの約1ヶ月

退院日が決まったとき、億泰(担当医。なぜそう呼んでいるかはこちらへ)から普段の生活に慣れることを目標とされ、そんなに大変なのか、とビビっていたので、会社には退院後に連絡をいれることにしました。

案の定、退院後はじめての食事をしたらいきなり低血糖を起こし(1型糖尿病になって、初めての低血糖)、また、ずっと入院生活だったので体力の低下が著しく、「こりゃダメだ」と思い、会社には現状と、2週間とりあえず休ませてほしい旨を連絡。2週間後に、また様子をみることにしました。

 

そして2週間後。

 

会社復帰なんて全然ムリ

 

やっと近場のスーパーに、付き添いの母と一緒なら行ける、程度。しかもスーパーの帰りには荷物も増えて、帰りはもうヘトヘト。

外出どころか、毎日3食の糖質量を考えて料理することがとっても大変。

これじゃ、朝の通勤ラッシュや会社で仕事なんてもってのほか、しかも低血糖を起こしたとき用のジュースや糖質管理したお弁当を用意したり持っていったりするなんて疲れて絶対ムリだ、と確信し、+2週間追加で休みたい旨の連絡をいれました。

退院後、ほぼ1ヶ月まるっとお休みしたら、これまで忙しかった仕事のことも忘れられて、毎日インスリン注射に憂鬱になりつつも、気持ちに少しずつゆとりができました。

なんとか1人でも電車に乗れるようになった頃(それでも近場しか怖くて出歩けませんでしたが)、会社に復帰しました。

今後続くインスリン代とか考えると、突然やめたら大変かなとか、次の職場を探すのが難しくなるかなと思って、とりあえず事情を分かってもらってる今の会社に復帰してみて様子を見ることにしました。

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復帰初日

まず、勤務にあたり当分はヒールを履かないようにしました。
通勤時間は片道およそ1時間で、その途中や勤務中に低血糖になった場合にヒールを履いていたら危ないので、ヒールの無いぺったんこの靴で通勤しました。

私の会社はフリーアドレス制で、固定席が決まっていません。ですが、私は業務上電話を受けたりかけたりする業務なので、通常は電話番の席に座るのですが、この日は今後のことも踏まえてひとまずフリー席につくことにしてもらっていました。

そしてLINEでやりとりしていた同僚と、今後の業務について、話し合いました。

・業務内容を変更するかどうか
・定時の勤務時間内での業務が可能か

業務内容を変更するかどうか

私は入院前に、課長面談の際に違う業務も挑戦してみたいと伝えていましたが、その直後に入院してしまったため、結局新しい業務を行うことができないでいました。

同僚との話し合いでは、課内の他の業務の方がやりやすければ、変更を検討する方向だと言われましたが、やりたかった仕事は外出があったり、相手との対面での業務だったりで、まだ血糖値を安定させることのできない私はいつ低血糖になるか分からない状況のため、その業務にはリスクが出ると思い断りました。

また、今から1から覚えることへの不安感を考えたら、これまで行ってきた業務内容を続ける方が容量も分かっているのでずっと安心で、また、別の同僚と2人で行っている業務のため、何かあっても任せられる環境にあったので、半ば諦めの気持ちで業務の変更は行わないことに落ち着きました。

定時の勤務時間内での業務が可能か

とりあえず定時の勤務時間で働いてみて、様子を見る方向にはありましたが、在宅勤務ができないかこの時点で相談しました。

私の会社は、総合職以上の社員には持ち運び可能なモバイルPC が貸与されており、そのPCで在宅勤務している人が部内にいたため、打診してみました。

すぐに人事部に相談し、上層部と掛け合ってもらえることになりました。人事部には顔馴染みの方がいたので、入院したこともすぐに知られていたということもあり、率先して動いてくれたのが本当にありがたかったです。

初日は確認で終わり、その他は溜まったメールの確認など、特に仕事という仕事をしなかったので無事に勤務時間内を終えることができました。

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復帰後2日目~1ヶ月

血糖値が不安定なため、通勤ラッシュ時や会社到着時、昼食後に低血糖を起こしたり、退院後まだ少ししか回復していない体力が尽きる16時を過ぎたあたりに、疲れてぐったりするので休ませてもらうことが多々ありました。

仕事後、最寄り駅から自宅までの途中にある坂がキツく、途中3回も休んだりと、体力が相当なくなってることに驚きました。

在宅勤務は会社都合でしばらく難しいとの返答だったため、上記の症状が出てることもあり、時短勤務を希望しました。

16時までの勤務で部長からの了解を得た翌日から時短勤務スタート。

朝の通勤ラッシュ時の低血糖が怖かったので、本当は朝も遅くしたかったけど、出勤時間を多少前後しても電車の混み具合があまり変わらないこと、勤務時間がさらに減ることを考えたら、朝はこれまで通りに出勤して、具合が悪いときはフレックス制度を利用して遅く出勤する、という形にしました。

復帰して半年後

なんとか時短勤務で半年働けました。
徐々に血糖コントロールと、日常サイクルに慣れてきた頃、ようやく在宅勤務ができることに!

私の会社では、私の役職で在宅勤務を行うことは異例のため、ちゃんとした理由付けをする必要があり、通常の勤務だと何が難しいかをピックアップする必要がありました。

1型糖尿病であることを前提に、私が伝えた主な理由は以下の通り。

・血糖値が不安定なため、通勤途中で低血糖を起こしやすい。
・昼食後に高血糖になり気持ち悪くなることが多く、休憩しがちになる。
※私の会社は保健室がありますが、ひとつ上の階のため、上の階に行くのもしんどい。
・電話番の席にいなくてはいけない関係上、体調が悪くても電話席に誰もいないと席を離れにくい。
・インスリンを打つための持ち運べる針の数に限りがある。
※血糖が下がらず追い打ちをしたりもしていたので。
・低血糖時に捕食するための飲食料が、持ち運びすることでモノや数量に制限がある。

結果的に上記の理由で在宅勤務が認められました。

しかし、ここで新たな問題が。

同じ業務を行っている同僚から悲鳴が上がりました。

私が在宅勤務になることで自分へのプレッシャーを感じたのか、「困る」「もう少し後にできないか」などなど上司に相談していたらしい。

私と、在宅勤務を進められるよう一緒に動いてくれた同僚とで業務上問題が無いように詰めていたのですが、その場にいるのといないのとでは、残された側は気持ちの持ちようが違うんだと思います。

ただ、私も結構ムリして会社に行ってるので、困るといわれても困る。
結局、上司からなだめて不安解消になるよういろいろ対応してもらい、在宅勤務が可能となりました。

そういった反発があったこともあり、最初は週2日からスタート。
勤務時間はフルタイム。在宅勤務日も、電話の本数が少ない週の間。

まずは週2日で私や課内の人、共にそういった働き方に慣れることを目標とし、1ヶ月後などに様子を見て在宅日の増減を考える、という方向で進めることになりました。

ちなみに、会社に出勤する日はこれまで通り16時の時短勤務。

ですが、その時点で私的には結構ブルーな気持ち。在宅勤務ができることは大変ありがたいのですが、反発していた人も持病を持っている方だったので、人よりも気持ちを分かってもらえるかと思っていたのですが、「私とは別の業務をする人」よりも「私と同じ業務を行う人」にとっては「相手の心配」以上に「自分へのプレッシャー」の方が大きいのだなと思ったら、在宅勤務すること自体、気を使うようになってしまいました。。

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在宅勤務を行った結果

在宅勤務を行ってみてー体調面ー

人によって体調の不具合は様々だと思いますが、会社での勤務より自宅で自分のペースで勤務することによって、かなりゆとりができました。

今までは通勤で歩く距離のことを考えて朝食の内容や量を一定にし、インスリンの打ちすぎにも気を使っていましたが、在宅勤務の場合は食べたいモノや量に合わせてインスリンを打てばよく、具合が悪くなってもすぐに横たわれる環境にあるので、そういった面でもかなりストレスフリーになりました。

在宅勤務を行ってみてーメンタル面ー

在宅勤務の日は「人に気を遣う」というストレスがかなり解消しました。

「人と直接接しない時間」「ひとりで仕事する」ということが、自分の気持ちに焦りを感じなくなり、「マイペースでも仕事ができるんだ」というゆとりを感じ、それが結果的にストレスをなくしてくれました。

もちろんまるでゼロ、というわけにはいかず、在宅勤務を行ううえで新たに発生した会社でのストレスもありました。
例えば、会社で同僚から「この日は休み?」と聞かれることにとてもストレスを感じるようになりました。「この日在宅?」という意味なのですが、嫌みなのか、会社にいないから自然とそう言ってしまうのか分かりませんが、言われた方にとっては結構酷。あえて「この日は在宅です。」と応えます。

ただ、それも少しの辛抱。1、2ヶ月もすれば在宅勤務という働き方に自分も周りも慣れはじめ、何も問題がなかったかのように反発の声もほとんど無くなりました。

4ヶ月経ったいま、これまで在宅日を増やしてもらえるよう試みたのですが、在宅の日が増えることに関してはやはり同僚の反発が多少あることや、その反発の対応にてこずる上司もそれに疲れた様子で、在宅日を増やすことはできていませんが…

完全にストレスフリーというのは、病気を持っている人も持っていない人もお互いに難しいですよね。。

在宅勤務ができる環境ならやってみよう

入院前の仕事への向上心は、血糖コントロールができないという弊害により一気に下がりましたが、周囲の上司や同僚たちが私の状態を気にかけてくれるので、気負わずに仕事ができる環境に、入院前よりもずっと気持ちをラクにして働けるようになりました。

やはりこれまで在宅勤務という働き方が表立って無かったことにより(少なくとも私の会社は)、それに対する反発の声は無くはないのかもしれません。全員が全員、自分の状態や気持ちを分かってくれるわけではないですし、自分も相手の気持ちを組む余裕はありません。そういった難しい状況にさらされても、在宅勤務ができるのならやるべきだと思います。

それは働き方への新しいチャンスとなり、周囲の人の気持ちを分かるようになり、自分の気持ちにも正直になれる良いきっかけになるからです。
会社に同じ1型糖尿病の人がいなければ、相手は1型糖尿病であることのツラさが分からないので、より一層働き方に融通が利きやすくなる可能性があります。自分にムリの無い範囲で働き方を変えることができれば、これまでよりずっと働きやすい環境をつくることができる、と私は思います。

こんなに融通利かせて働かせてくれる会社は、そうそうないのかもしれません。私自身、とてもありがたく思います。でも、言ってみないとできるかできないかは分かりません。チャンスを掴むべく、一度行動を起こしてみて、どこまで働き方を変えられるか挑戦してみてください。[:]

KUTANECO

KUTANECO

30歳で1型糖尿病が発病。

これまでの日常に、1型糖尿病というスパイスを加えた毎日を綴ることで、私自身の記録に、また同じ環境の皆さまの参考になればと思います。

その他、趣味に関する内容も随時更新します。

また、インスタグラムにて1型糖尿病での生活をコミック風に共有しているので、併せてご覧ください(↓下のアイコンをクリック)

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